全ねじ、半ねじって?

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全ねじ 半ねじって full thread and half thread bolt

    ねじ業界において六角ボルトなどの雄ねじには2つのパターンあります。ひとつは全ねじ、もうひとつは半ねじ。これらの違いは何なのか、そして一体どちらを選択して使えばいいのか。

    まずはじめに全ねじについて考えてみましょう。ねじの首下からねじ先までねじ部になっているものを全ねじといいます。

    全ねじはグリップ力が得られ、一度締め付けると取り付け圧力がねじ全体に広がります。この全ねじは、位置合わせやせん断強度に比べてグリップ力が重要となる場面での用途に適しています。全ねじの場合、ボルトにかかる張力はボルトだけでなく構造全体(被締結物)にかかるため、半ねじよりも大きな力に耐えることができます。


全ねじの長所を述べましたが、同時にせん断力や調心性を伴う作業に弱くなるという短所もあります。

通常、全ねじは車のパネルや家具、機械の重要な部分での使用などがあります。

    では次に半ねじについて考えてみましょう。半ねじはねじの胴体の半分から先端に向けてねじ溝があるもののことを言います。



    半ねじはねじの長さが短いためグリップ力が低くなり、材料や対象物に伝わる取り付け圧力も小さくなります。せん断強度と位置合わせが関係する用途に適しています。ねじ胴体部(ボルトシャンク)がないため、割れや曲がりにつながることがありません。
半ねじは、ボルトを対象物に挿入し、最後に雌ナットで締め付ける用途に使用され、全ねじよりもねじ面積が少ないため、調整したり緩まる可能性が高くなります。


半ねじボルトは全ねじボルトよりも頻繁に見られ、ウォーターポンプ、フランジ、ベンチ、自動車部品、機械などあらゆる場所で見られます。

ヒント!:製造業界でボルトを手に入れる場合、「(全ねじ、半ねじなどを言わずに)4.8の六角ボルトM10×50をください」といった場合、一般的に「半ねじ」のことを指します。もし製造業界以外の他業界で、同様のことを伝えるときは必ず「半ねじ」、「全ねじ」という言葉を付け加え必要なねじの情報を伝えるということがキーポイントとなります。
では、どうやって半ねじということを知り得るのか。

上記の半ねじボルトの紹介を踏まえて、半ねじボルトのねじの長さは?、どのくらいの長さになるのか?

 

ということをどのように知ることができるのでしょうか?これを計算するための非常に役立つ方法があります。
六角ミリねじの場合は、電卓を使わずに基本的な数学だけで計算できる簡単な公式があります。






半ねじのねじ長さを計算する式:

1.) ボルト長さ ≤125mm の場合: (呼び径 X 2) + 6

a.たとえば、六角ボルト M8x50 のネジの長さは (8x2)+6 = 22mm になります。

2.) ボルト長さ≧130mm の場合:(呼び径×2)+12

a.たとえば、六角ボルト M12x150 のネジの長さは (12x2)+12 = 36mm になります。

3.) ボルト長さ≧220mm の場合:(呼び径×2)+25

a.たとえば、六角ボルト M16x240 のネジの長さは次のとおりです: (16x2)+25 = 57mm


    どうでしょうか?とてもシンプルですよね?

この計算式を覚えて頭の中で計算しておけば、お客様から六角ボルトのねじの長さを聞かれたときにすぐに答えることができます。
いずれにせよ、上記の計算式は標準的な六角ボルトにのみ使用されます。ねじの長さが異なる場合や、お客様のご要望に応じたカスタムねじの長さも可能です。
     

また、すべてのボルトの長さで半ねじが選択できるわけではありません。標準ボルト長さは、JIS B-1180(六角ボルト)の各サイズと同等以上の具体的な長さ(例)となります。



注釈!サイズに書かれている「s」はボルトのネジの長さです

元。 M6x25x18s (このボルトのネジ長さ = 18mm、全長 = 25mm)

サイズごとに半ネジを選択可能

≥M6x25mm   (M6x25x18s)

≥M8x30mm   (M8x30x22s)

≥M10x30mm (M10x30x26s)

≥M12x35mm (M12x35x30s)

≥M14x40mm (M14x40x34s)

≥M16x45mm (M16x45x38s)

≥M18x50mm (M18x50x42s)

≥M20x50mm (M20x50x46s)

≥M22x60mm (M22x60x50s)

≥M24x65mm (M24x65x54s)


以上でJIS B-1180六角ボルトの半ねじ、全ねじの長さについてとなります。半ねじ、全ねじの違いと同時に長さの計算式など、お役にたてたら幸いです。

では、また次号でお会いしましょう!

 



阪神ネジ株式会社
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