ねじ頭部にある数字を知っていますか?

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ねじ頭部の数字って何を意味する?

    皆さまこんにちは。本記事はねじの強度(グレードとお呼ばれま)についてお話します。

    ねじ頭部にある4.8, 8.8, 10.9 又は 12.9 などが色んな工業や一般用途でよくみられる数字が何を意味するのか疑問に思われているかたもおられるのではないでしょうか。今回はその疑問について解説していきたいと思います。

これらの数字はISO 又は JIS規格に応じてミリ(メートル法)単位でよく現れます。インチねじ(Imperial、インペリアル)又SAEやASTMおよびその他規格では5本のマークなどがありますが、本記事ではISO と JISを中心してご説明いたします。

ねじ頭部に書かれた 4.8、8.8、10.9又12.9の数字はユーザーが適正なねじを選ぶためにあります。小数点の前の数字は「張力」、小数点の後の数字は「降伏強さ」をそれぞれ示します。 以下に詳細をご説明いたします。 

4.8 六角ボルト

最初の数字「4」はそのねじが最大の張力(究極張力)に耐えられるかを示します。この数値に 100 を掛けて、このねじが引っ張る力に耐えることができる張力に等しい値を知ることができます。その単位は対象規格・国により Mpa (Megapascals、メガパスカル)、 N/mm2 (Newton/Square Millimeter、ニュートン/平方ミリメートル)又はPsi (Pound/Square Inch、ポンド/平方インチ)にあるが相互に変換できます。 

例:張力  = 4 x 100 = 400 Mpa 又は N/mm2

次の数字「8」はそのねじの降伏強さを示します。つまりそのねじはどれ位の力で引っ張られても変形せずに元の位置に戻ることができます。この値は究極張力に0.8(この数字の前にゼロ「0」数字と小数点「.」をいれ、この場合0.8になる)を掛けて算出できます。この値がとても大事でつまりねじが破損したり、割れたりすることがなく最大限まで効率的に使用することができます。

例: 降伏強さ  = 400 x 0.8 = 320 Mpa 又は N/mm2

それで 4.8 のねじは究極張力が 400 N/mm2 で、 降伏強さが 320 N/mm2 になります。

8.8のねじの場合、 究極張力が800 N/mm2 で 、降伏強さが640 N/mm2 になります。

何れの場合、上記の数字はあくまで参考値に過ぎません。実際ねじを使用するとき、熱や表面や用途など様々な要素でこの値が低下・変化することもあります。そのため、ユーザー様がそれらの影響のある要素に対する配慮が必要です。

    次にねじ頭部にある英文字や記号例えばKKT、KN及びその他文字などはそのねじの製造元を示す刻印です。これらの文字や記号が必ず入れなければならないという規格はありません。刻印を入れるか入れないかは製造メーカによります。

以下に4.8、6.8、8.8、10.9、12.9の六角ボルトの適用例と説明があります。

4.8六角ボルトは世界で最も一般的な締結部品の一つです。頭部は六角になっており、主にご家庭にあるスパナや六角レンチで締めることが出来るため、誰でも簡単に使用することができます。4.8六角ボルトは低張力の締結部品ですので、屋内・屋外を問わずに使用できます。メッキは用途により異なります。

使い方:あらかじめご希望の寸法にタップ加工をし、六角レンチまたはスパナを使用し、六角レンチまたはスパナを使用して適切なトルクで取り付けて下さい。また、下穴が無くてもネジ穴以外にも使用可能です。タップ穴加工無しの穴にボルトを入れ、先端をナットで締め付け締結することも出来ます。

どこでどのような仕事でこの製品を使用するか:4.8六角ボルトは引張強度が低いです。
4.8クラスのボルトは引張強度=400N/㎟、降伏強度=320N/㎟です。この強度は家具などの軽量用途に適しています。このボルトは日常生活の中で非常に一般的な締結部品として目にされることがあると思います。公園のベンチに座って下を覗くと、この4.8六角ボルトが見つかるかもしれません。

ちなみにこ写真のKKTという刻印は 製造元の「極東製作所」の頭文字からきたものです。

 

6.8六角ボルトの外観は他の一般的な六角ボルトと似ており、その汎用性により世界で最も一般的な締結部品の一つです。このボルトの頭部は六角で、主にスパナや六角レンチを使用して締め付けます。中引張強度のボルトで主に大きいサイズを取り揃えています。あまり見かけないレアなボルトです。


使い方:あらかじめ希望の寸法にタップ加工を施し、六角レンチやスパナを使用して適切なトルクで取り付けてください。また、ネジ穴以外にタップ無しでも使用可能です。タップ穴加工無しの穴にボルトを入れ、先端をナットで締め付け締結することも出来ます。6.8六角ボルトは4.8六角ボルトよりも高い張力がかかる場合に使用出来ます。


どこでどのような仕事でこの製品を使用するか:6.8強度の六角ボルトは中強度の引張強さで、引張強さ=600N/㎟、降伏強さ=480N/㎟です。機械の組立て等の中量物に使用される場合やその他の一般的な用途に適した強度です。通常日本では受注生産品がほとんどの希少なボルトですので、日常生活で目にする機会は少ないかもしれません。


8.8六角ボルトはその汎用性から世界で最も一般的なネジの一つです。主に高張力の用途に使用され、4.8六角ボルトのアップグレードバージョンです。このボルトも頭部が六角形になっており、主にスパナや六角レンチを使用して締め付けます。材質の強度の影響により、M6より大きいサイズが主流です。

使い方:あらかじめご希望の寸法にタップ加工を施し、六角レンチ又はスパナを使用して適切なトルクで取り付けてください。高張力ボルトはトルクが重要な要素となるため、適切に締め付ける必要があります。また、ネジ穴以外にも下穴無しで使用可能です。ボルトを穴に通し、最後にナットで手結する方法もあります。ナットを使用する場合、ナットの強度は8T以上が必要です。

どこでどのような仕事でこの製品を使用するか:8.8六角ボルトは引張強度が高いため、引張強度=800N/㎟、耐力=640N/㎟になります。この強度は一般機械、コンベア、倉庫設備などの組立などの高重力用途やトルクや高張力が懸念される箇所に使用することに適しています。このボルトは普段あまり一般の公園などでは見ることはなく、主に工場や機械の中で目にすることが多いです。

 

10.9六角ボルトの外観は他の一般的な六角ボルトと似ており、その汎用性により世界で最も一般的な締結部品の一つです。このボルトの頭部は六角で、主にスパナや六角レンチを使用して締め付けます。高引張強度のボルトで主に大きいサイズを取り揃えています。高強度のボルトではよく使用されるボルトですので、様々なサイズがあり、細目のピッチのボルトもよく使用される為、高強度のボルトの中でも汎用性の高いボルトになります。

使い方:あらかじめ希望の寸法にタップ加工を施し、六角レンチやスパナを使用して適切なトルクで取り付けてください。また、ネジ穴以外にタップ無しでも使用可能です。タップ穴加工無しの穴にボルトを入れ、先端をナットで締め付け締結することも出来ます。

どこでどのような仕事でこの製品を使用するか:主に建機や機械等に使用されている高強度のボルトです。材質はSCM435です。
引っ張り強さは最小1040n/mmあります。耐力はその90%で936N/mmとなっています。メッキの種類は、黒染めされているのが基本で、その他に、ユニクロメッキ、3価クロメートを主に在庫をしております。

気をつけなければいけないのは、黒い通常の10.9ボルトに電気亜鉛メッキ処理をする場合は、ベーキング処理を必ずしなければいけません。

 

12.9の六角ボルト  は、非常に高い強度をもったボルトであり、六角の頭の部分には、アルファベットでメーカー名と強度区分が12.9 と刻印されています。

この12.9は強度区分を示しており、引っ張り強さが1200n/㎟ で、0.2%の耐力は1080N/㎟ であり、
引っ張り強さが 1200N/㎟あり、1200N/㎟までは切れずに、1080N/㎟までは伸びても元に戻るという性質を表しています。

表面処理は、、黒色酸化被膜で材質が構造用合金鋼でSCM435がよく使用され、硬度は、HRC 38~43です。

12.9の六角ボルトは非常に高い強度と耐久性を持つことから、重要な組立作業や機械部品、建築関連、エンジン回りや建機等に使用される事が多いです。

12.9の六角ボルトは適切なサイズのナットを選択し、使用状況に応じて洗浄や潤滑が必要かどうか確認する事も重要です。その後適切なトルクレンチやレンチを選んでください。

締め付けトルクはボルトとナットのサイズ、材料や使用用に応じて適切なトルクを作成し、締め付けてください。


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