これだけは知っておきたいネジのお話 基礎編 ~阪神ネジ一筋 杉本がお答えします~

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これだけは知っておきたいネジのお話 基礎編 ~阪神ネジ一筋 杉本がお答えします~

これだけは知っておきたいネジのお話
皆さん、こんにちは!阪神ネジ一筋 杉本和暉(かずき)です!

 
    4月ということで新社会人の方はたくさんいらっしゃると思いますその中でネジ屋1年生の方だったり、製造業に新しく入られた方だったりで右も左もわからない状態だと思います。

そこで今回は少しでもネジについて興味を持っていただけるようなネジの基礎編という形でお伝えしていければと思いますので是非最後まで見ていただけたらと思います。

動画はコチラです

 



ねじの強度区分について
    まずはねじの強度区分についてご説明させていただきたいと思います。皆さま見られたことあるかもしれませんが、六角ボルトには数字が入っていることが多いです。こちらは強度区分を表しています。



    まず左側の数字これは引張強さを表しています。例えば図1でいうと10と書いていますが、掛ける100して1000N/mm2の引張強さがあるということです。

1000N/mm2までの力で引っ張られていもネジは堪えることが出来ます。

逆に1000N以上の力が加わるとポーンと図2のように折れてしまいます。

    では右側の数字「」はというと降伏点を表してまして1000N/mm2対して9割までの力で引っ張られてもねじは元に戻ろることが出来ます。ゴムと一緒で引っ張ったら戻ろうとする力と一緒です。

    ネジも実は引っ張られて元に戻ることによってねじは中のものを締め付けることが出来ているのです。9割までだったら元に戻る。逆にそれ以上いくとネジがぐうっと材料が伸びた状態になってしまうことを表しています。

例えば8.8のボルトとかもあると思うんですけど8.8の場合だったら1/mm2あたり800Nまでだったら耐えれます。

その8割8.8なんで8割の640Nまでの力が加わった場合はネジはこう元に戻ろうとするけどそれ以上加わるとぐっと伸びきった状態になるってことを表しています。つまり、ねじとしての効力がなく緩んでしまうということです。

 
【重要です!】ベーキング処理について
    先ほど高強度のボルトについてお話しさせてもらったと思うんですけど高強度のボルトにはメッキした後にベーキング処理というのが必要と言われています。ベーキング処理とは工程でいう大体200℃程度の温度で浴槽の中にはだいたい8時間から24時間ほど加熱をしてネジに入り込んだ水素取り除いてあげるっていう処理になります。

    なぜそれをするかというと水素脆性を防ぐための処理です。水素脆性とは電気メッキをした後に水素の原子が金属に吸収され本来の材料の繊維に水素が入り込むことにより金属素材の粘り強さが低下し脆くなってしまう現象のことを言います。

    高強度のボルトにはべーキングをしてしっかり水素を抜かないと締め付けた後しばらくして急に頭が飛ぶことがあり大変危険です。

必ず8.8や10.9の高強度のボルトにはベーキング処理というのは必要です。

    日本では高強度ボルトにメッキする場合は必ずベーキング処理をするというのが常識ですが、タイなど海外ではベーキング処理をしていない高強度ボルトも販売されていて、弊社のお客様でもそのまま使われていたら折れたりしてるっていう事案も実際あったので皆さん気を付けて下さい。(12.9と書いたボルトがメッキされていたら危険です!)

ミルシートについて
    ミルシートとテンプラミルシートの違いについて説明したいと思います。ミルシートをくださいとお客さんから言われるとが多いんですけどミルシートっていうのは材料の証明書を表しています。例えばなんですけどこのボルトのミルシートをくださいと言われた際はこのボルトの材料の成分が何を使われているかというのを証明できる書類になります。

    テンプラミルシートっていうのは、例えばこのボルトの材料証明ではなく昔の材料証明書をコピーしただけのものになります。いわば参考程度の書類なんで注意が必要です。

    1点大事なことがあります。ご注文いただいたから後からミルシートを要求された場合、発行できない可能性があります。ミルシートというのは材料メーカーさんで管理してるんですけどロット番号ですべて管理されているそれが分からないと発行できない場合がありますので注意のほどよろしくお願いします。

六角ボルト半ねじのねじ長さについて
    ご存知のように六角ボルトには全ネジと半ネジがあります。半ネジは実は計算式でどんな長さでも半ネジの長さがいうわかります。


計算式は

ネジ径x2+6

首下長さが130以上の場合はネジ径x2+12

それですべての規格のネジの半ネジ長さを求めることができます。※注意 220L以上はネジ径x2+25になります。

※注意 その他細目や長いもの太径(M36以上)になると各社独自の規格がある場合があります。

例えばM16x80の場合だとM16にx2で約32mm+6で38ってなるのでM16x80のネジ長さは約38ミリだよというのがわかります。

    これ知っておくと施工に行った時に大体これを使えるなとか分かりますしネジ屋さんで働いている方だったらお客様から半ネジの長さを教えてーって言われた時にもカタログみずににすぐ即答で答えれるのでぜひこれを覚えて頂ければと思います。

 
六角ナットの高さについて
    皆さんにもう一つだけ覚えていただきたいものがあります。それは六角ナットの高さです。六角ナットって1種2種3種であのーそれぞれあのねネジ径で高さを求めることができます。



    例えば1種と2種の場合は高さが同じなのでx0.8してあげると求めることが出来ます。
M10だったらM10=10x0.8 高さ約8mm

3種の場合はx0.6になります。
M10だったらM10=10x0.6 高さ約6mm

※若干アバウトではあります

長文ご拝読ありがとうございました!また書きますのでよろしくお願いいたします!